第6回日本がんサポーティブケア学会への発表
PMUアートメイクジャパンでは抗がん剤治療中の方へのアートメイクをアピアランスケアの一環として提供しています。その効果についてPMU横浜元町の橋本織江看護師が「アピアランスケアとしての医療アートメイクを安全に実施するための手技」について第6回日本がんサポーティブケア学会で発表しました。今回はその発表内容をご紹介したいと思います。
アートメイクは、色素が落ちない入れ墨とは異なり、経年とともに退色する安全性が高い技術で、医師や看護師が施術を行う医療行為です。近年、様々な医療機関で急速に導入が進んでいる人気の施術です。
抗がん剤治療とアートメイク
抗がん剤療は、手術、放射線治療とならび、がん治療の中心となる治療法の1つです。
しかし、その一方で合併症として脱毛が避けられない場合があります。
髪毛の脱毛にはウィッグを用いますが、眉の脱毛にはこれまではメイクで対応するしかありませんでした。
眉の脱毛後においても、眉の毛並み感を維持、再現するための方法のひとつとしてアートメイクがあります。
しかしながら、抗がん剤を行う施設とアートメイクを行うクリニックとの連携方法が十分に確立していないこと、抗がん剤治療による感染や治癒の遷延が懸念されることから、このような患者様に対するアートメイク施術を受け入れている医療機関は少ないというのが現状です。
PMUアートメイクジャパンでは、以前から抗がん剤治療中の患者様のアピアランスケアとしてアートメイクを行い、高い満足度と安全性を報告しています。
アートメイク施術の流れについて
≪来院≫
施術希望の場合には、必ず紹介状が必要になります。
抗がん剤治療を行う医療機関からの紹介状を受け取ったあと、当院の医師による診察や抗がん剤の種類やスケジュールの確認、合併症の有無、内服薬の把握、検査結果について把握します。
その上で、アートメイクの施術について問題ないと医師が判断した場合には、施術準備に取り掛かります。
≪施術準備と施術≫
眉の形・デザインを患者様本人と相談し、デザイン確定後に、写真撮影、表面麻酔、施術という流れになります。
≪アフターケア≫
施術後にアフターケアを行い、次回の日程を調整します。
≪当院使用の「Bio-Tech社アートメイク機器」について≫
今回の施術には、Bio-Tech社製フェザータッチ手彫りペン(0.18mm・18本針)使用し、色素を入れました。
なお、こちらのアートメイク機器の針は、すべて使い捨てとなっています。
また、アートメイク後に懸念されることが多いのがMRI検査ですが、こちらのアートメイク色素を使用しての施術では、MRI検査に対する安全性が確認され、医学論文で報告されています。
眉の施術方法パターンについて
眉の施術方法は、以下の4種類に分類されています。
・グラデーション眉…メイクアップしたような質感の眉
・3D眉…眉の毛並みを再現する方法
・4D眉…毛並みの再現ならびに立体感をプラスする方法
・エアフォグ眉…薄く細かい点で眉の形を整えて再現する方法
なお、抗がん剤治療中の患者様に対しては、3D眉もしくは4D眉で施術をする場合がほとんどです。
≪3D眉の特徴≫
手彫りの技術で、眉を1本1本のストロークで眉の形を整え、毛並みを再現することができます。
≪4D眉の特徴≫
手彫りで毛並みを再現し、眉の形を整えたあとにマシンを用いてシェーディングで陰影をつける方法で、立体感をプラスします。
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■グラデーション眉について詳しく知りたい方はこちら
■3D眉について詳しく知りたい方はこちら
■4D眉について詳しく知りたい方はこちら
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考察
抗がん剤治療中のアートメイクは、施術時期や方法、使用器具の安全性の確保が、感染などの合併症を防ぐために重要です。
当院使用の針や器具は、外科手術に使用される器具と同様の滅菌または消毒を行っているため、使用物品からの感染リスクは低いと考えられます。
また、病院間の連携を図ることで患者様の治療スケジュールを把握し、アートメイクをがん治療計画の一環として捉えて、最も抵抗力が低い時期を避けてアートメイクを行ったことが、合併症の防いだ大きな要因のひとつと考えられます。
がん患者様のアピアランスケアの手引きにおいて、化学療法による眉毛の脱毛に対してアートメイクが有用化という点については、推奨グレードC1bと低いのが現状です。
しかし、当院で施術したいずれの症例も、現在までに副作用や感染症、MRIにおける熱傷などの合併症を認めていません。
脱毛前と同様の毛並み感を再現した眉をアートメイクで入れることにより、自己イメージの大きな変化を防げているのではないかと考えます。
また、治療前と見た目の印象が大きく変わらないことで、化学療法患者様のQOL向上と整容性の維持に貢献できました。
今後は、女性のがん患者様の治療において、患者様のQOL向上のためのアートメイクをがん治療計画に一環として捉える、社会的認知の普及が必要であると考えます。
今後もがん治療を受ける病院とアートメイクを行うクリニックの架け橋になれるよう、
今後も正しい情報を発信していきたいと思います。
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