Columnコラム
PMU渋谷

アートメイク後のMRI検査は安全か? ②

2021.06.22

MRI検査でアートメイクは注意すべきとされています。

前回の記事に引き続き、

アートメイク研究の第一人者の冨田祥一先生に

アートメイク後のMRI検査は安全性について伺いました。

MRI検査は人体に影響しうる以下3つの作用があります。

1. 静磁場

2. 傾斜磁場

3. RFパルス

2回目の今回はMRI検査時のRFパルスが及ぼす影響について

お伝えしたいと思います。

3. RFパルス

アートメイクを受けた方がMRI検査の際に最も危惧されるのがRFパルスによる影響です。

RFパルスとは静磁場に垂直な方向に照射する電磁波のこと。

RFパルスが引き金となり電磁誘導が起こり、

その結果生じた誘導電流によって発熱、火傷を引き起こすことがあると報告されています。

その際にコイルとなるようなループ構造が存在すると発熱しやすくなると言われています。

これはアートメイクの形状にも言えることで、

冨田先生は円形(中を塗りつぶした形状)と輪(ドーナツ状)では

わずかではありますが輪の形状の方がMRI検査時に発熱量が多いことが実験によって報告してきました。

(冨田祥一ら.乳輪乳頭部へのアートメイクのMRI検査における安全性(第2報) マウス皮膚を用いた形状の検討.Oncoplastic Breast Surgery. 2016; 1巻1号: 20-24.)

さらに金属成分を主成分とする色素に対して

臨床では用いられていない動物実験用の強力なMRI装置(9.4テスラ)を用いて

熱傷を来すような発熱が認められなかったことを報告しています。

(Tomita S, et al. Multifaceted evaluation of Ultra-high-field 9.4-T magnetic resonance imaging after inorganic tattoos: An Animal Study. JMA Journal. 2019; 2(2): 155-163.)

この研究と同様に、酸化鉄などの金属成分はMRI検査時の火傷の原因ではないとする医学論文も散見されています。

これはMRI検査時に両手で輪っかを作ったことによって火傷を起こしたという報告があることからも、

アートメイクの色素に含まれる金属成分はごく微量のため

これが直接MRI検査時の火傷の原因とはならないのではないかと考えています。

一方でMRI検査時にアートメイク部に火傷を来した報告があるのも事実です。

(冨田祥一ら.乳輪乳頭部へのアートメイクのMRI検査における安全性(第1報)retrospectiveな検討. 形成外科. 2015. 58巻5号. 549−554.)

これまで医学論文として報告され確認されたものは6件。

いずれもアイラインへアートメイクが行われています。

このうち検査室に入った時点で痛みを感じて検査を中止した物が2例、

4例は腫れや赤みが出現しましたが、特別な治療をすることなく治癒しています。

MRI検査時にアートメイク部に火傷を来した報告は少なく、

様々な条件が重なった時に生じたと考えられます。

その条件のひとつとして共鳴加熱やアンテナ効果と呼ばれる

MRI検査時の発熱を増強するものがありますが、

一般的なアートメイクはこの条件に合致しません。

実際化粧品にも酸化鉄などの金属成分が含まれることから

必ずしもアートメイクがMRI検査時の

重篤なリスク因子とは言えないと思います。

アートメイクの後にMRI検査を受ける際は主治医、放射線技師の方々に相談していただき

何か検査中に異変を感じた際は検査を中止するなどの準備をした上で検査を受けて下さい。

まとめ

アートメイクの後にMRI検査を受けると、わずかながら火傷のリスクがある。

しかしながらアートメイクはMRI検査を禁止するものではなく、

主治医、放射線技師の方々に相談・対策の上、

十分安全にMRI検査は可能であると考えられる。

この度は冨田祥一先生にお話を伺いました。

今後も様々な研究・調査を通じて医療として

安全なアートメイクを目指して行きたいと思います。

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冨田祥一先生

がん・感染症センター 都立駒込病院形成再建外科

東京慈恵会医科大学形成外科学講座 講師

乳房再建を専門とする形成外科専門医。

アートメイクに関する多数の学会発表・論文執筆を行う。

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アートメイクに関する代表論文

1. 乳輪乳頭部へのアートメイクのMRI検査における安全性(第1報)

retrospectiveな検討. 形成外科. 2015. 58巻5号. 549−554.

2. 乳輪乳頭部へのアートメイクのMRI検査における安全性(第2報) マウス皮膚を用いた形状の検討.Oncoplastic Breast Surgery. 2016; 1巻1号: 20-24.

3. Color change after paramedical pigmentation of the nipple-areola complex. Aesthetic Plastic Surgery. 2018; 42(3): 656-661.

4. Multifaceted evaluation of Ultra-high-field 9.4-T magnetic resonance imaging after inorganic tattoos: An Animal Study. JMA Journal. 2019; 2(2): 155-163.

5. A Survey on the safety of and patient satisfaction after nipple- areola tattooing. Aesthetic Plastic Surgery. 2020; Online a head of print.

6.Complications with permanent makeup procedures on eyebrow and eyeline. Medicine. 2021; 100(18): pe25755.